室生寺の歴史
室生の地は、古くから神々のいる聖地と仰がれてきました。奈良時代の末期、皇太子山部親王(後の桓武天皇)の病気平癒の祈願が、高僧 賢憬により行われ、これにすぐれた効き目があったことから、勅使により国家が、この地に室生寺(むろうじ)を創建されました。実際、建立に携わったのは高弟の修円でした。その修円により山林修行の道場として形をなしていきます。女人禁制の高野山に対して、女性の参詣を許したことから「女人高野」として親しまれています。
宗派・本尊など
宗派: 真言宗室生派
本尊: 釈迦如来
室生寺の見所
仁王門
室生川にかかる太鼓橋を渡ると、朱塗りの仁王門が立っています。近代の再建だそうです。
鎧坂
仁王門をくぐると、最初に急な石段に迎えられます。これが、鎧坂です。
金堂(国宝)
鎧坂を登りきったところに、柿葺(こけらぶき)の金堂があります。平安時代初期の建立で、礼堂部分は江戸時代(1672年)に付け加えられました。当初は石段上から仏像を拝んだようです。中には、本尊・釈迦如来立像が安置されています。
弥勒堂(重文)
鎌倉時代の建築といわれ、興福寺の伝法院を受け継いだといわれています。堂内中央には、本尊・厨子入りの弥勒像が安置されており、その右側に釈迦如来坐像(国宝)も安置されています。
本堂(潅頂堂)(国宝)
金堂からさらに石段を登ると本堂があります。真言密教の最も大切な潅頂(がんしょう)といわれる、正統な継承者とする為の儀式が行われていたお堂です。
1308年の建立です。
五重塔(国宝)
平安初期に建てられた五重塔で、高さ16.1mと、野外に建つ五重塔の中では、最小となります。室生寺山中の最古の建築物です。平成10年、台風で大きな破損を受けましたが、平成12年に修復が完成し、現在に至ります。
奥の院に続く道
五重塔から奥へ、原生林に囲まれ、「女人高野」を感じさせる奥の院へと、長い石段が続きます。
奥の院
御影堂(重文)
鎌倉時代の建立で、弘法大師42才の像を安置したお堂です。厚板段葺の頂上に、石造りの露盤が置かれているのが特徴です。
常燈堂(位牌堂)
奥の院に登る階段を登ると見えてきます。常燈堂は舞台作りで昭和10年に建てられた近代のものです。
その他
中尊 釈迦如来立像(国宝)
中尊 釈迦如来立像は、室生寺の本尊で、一木造りです。平安初期の作品で、光背には珍しい帝釈天曼荼羅図(国宝)が、描かれています。
十一面観音像(国宝)
釈迦如来立像の左側に立つ、十一面観音立像も一木造りの像です。これも本尊と近い作風で、同じ頃の平安初期とされています。
十二神像(重文)
これらの像の前に運慶作といわれている十二神像が、一列に並べられています。鎌倉時代のものだそうです。
以上はすべて、金堂に安置されています。
案内
〒:630-0421
所在地:奈良県宇陀市室生区室生
℡:0745-93-2003