興福寺の歴史
藤原氏の祖である藤原鎌足の夫人、鏡大王(かがみのおおきみ)が夫の病気平癒を願い、鎌足発願の釈迦三尊像を本尊として、669年山背国(やましろのくに)、山階(やましな)に創建した山階寺(やましなでら)が興福寺(こうふくじ)の起源です。壬申の乱のあった672年、山階寺は藤原京に移り、地名(高市郡厩坂)をとって厩坂寺(うまやさかでら)と称しました。710年の平城遷都に際し、鎌足の子息である藤原不比等は厩坂寺を平城京左京の現在地に移転し、「興福寺」と名付けられます。この710年が実質的な興福寺の創建年です。その後何度か火災に見舞われ、現在に至りますが、伽藍で最古の建造物は鎌倉時代建造の北円堂になります。
宗派・本尊など
宗派: 法相宗、大本山
本尊: 釈迦如来
ユネスコ世界遺産登録(1998) 古都奈良の文化財
興福寺の見所
五重塔(国宝)と東金堂(国宝)
五重の塔は高さ50.1mで五回の被災を受けて現在は1426年頃再建されたものです。
藤原不比等の娘であり、聖武天皇の皇后である光明皇后により建てられました。又、東金堂は、聖武天皇の叔母、元正天皇の病気全快を願って建てられました。堂内には日光月光菩薩や四天王像、十二神将像など国宝仏像が並びます。
三重塔(国宝)
1143年崇徳天皇の中宮が創建されましたが1180年の被災。今の建物は鎌倉時代の初期の再建です。北円堂とともに興福寺最古の建造物です。
北円堂(国宝)
現在、日本の存在する八角円堂のうち、最も美しいといわれる建造物です。
721年、元明、元正天皇が藤原不比等の一周忌に建てられました。1180年被災後1210年頃再建されました。
その他
薪御能(たきぎおのう)と塔影能(とうえいのう)
薪能は(たきぎのう)は主に夏などの夜に篝火を焚いたなかで演じる能です。 興福寺の薪御能は神様、仏様に捧げる儀式なので正面から見ることもありませんし、拍手をすることもありません。薪を燃やすからといって薪能ではないとしています。興福寺では毎年、春・薪御能(5月)「南大門跡にて」と秋・塔影能(10月)「東金堂にて」に能楽が奉納されています。それは、全国の中でも本家・本元で869年の西金堂で奉納されたのが始まりです。元々、奈良は猿楽で観世、金春、金剛、宝生の四座を生み出し京都で能に発展していった能の本家本元でもあり、その4座が勢ぞろいして行する行事を薪御能と呼んでいます。そして、その四座が会するのも薪御能ならではの味わいなのです。興福寺の薪能には敬意を表して薪御能になっています。
墨の話
空海が遣唐使として唐に渡り、筆とともに806年製法を興福寺に伝えたのが始まりです。墨は奈良の興福寺二諦坊(にたいぼう)で造ったのが始まりとされています。
阿修羅像(国宝)
戦闘好きの悪い神様といわれていましたが、釈迦に論されて心を改心し仏の道に歩いて行くという話があります。その後釈迦を守護する神と説かれるようになります。
(国宝館にて見ることができます。)
興福寺国宝館
もともと僧侶が食事をする食堂(じきどう)の場所に昭和34年(1959年)に鉄筋コンクリート造りの耐火式宝物収蔵庫として建てられました。中には旧食堂の本尊・木造千手観音菩薩を中心に、阿修羅像、乾漆八部衆像、乾漆十大弟子像や飛鳥の山田寺から運ばれた7世紀の銅像仏頭などの国宝など。興福寺の歴史を伝える沢山のものが収蔵されています。
案内
〒:630-8213
所在地:奈良県奈良市登大路町48
℡:0742-22-7755
まめ情報
近くのお店・・・・
レストラン菊水(きくすい)
奈良県奈良市高畑町1130(お店の前に駐車場あります)
℡:0742-23-2007
平日:11:00~14:00
17:00~21:00(入店20:00・LO20:30)
(※但し、14:00~17:00喫茶営業あり)
土日祝日:11:00~21:00(入店20:00・LO20:30)
定休日:お電話でご確認ください。
レストラン菊水は、春日大社一の鳥居前で1891年に創業した奈良の老舗旅館、「菊水楼」の欧風レストランになります。
写真はお昼のコース、3465円(税込)です。メインは魚と肉と選択できます。お店もレトロ感たっぷりで、ちょっと落ち着いたゆったりとした時間が流れます。お料理も美味しく、自家製のパンも見のがせません。(2012年 2月)
奈良ホテル
奈良市高畑町1096
℡:0742-26-3300
奈良ホテルは1909年、明治・大正時代の代表とされる建築家、辰野金吾(たつのきんご)によって設計されたものです。辰野金吾の他の代表作は、日本銀行本店・大阪支店・大阪市中央公会堂などがあげられます。和洋折衷の融合がとても美しく、今までにも多くの著名人が訪れています。
写真右はホテル内にあるティーラウンジ。本来の建物から増築された部分で、明るいガラス張りのスペースです。時々鹿の姿を目の前で見ることができます。ティーラウンジは8:30~18:00。コーヒー924円からです。(隣には「ザ・バー」、お酒をいただくスペースが18:00~23:00まで営業しています。)(2012年 2月)
地域別日本遺産